2015年1月8日木曜日

【学生残酷映画祭×シッチェス】『ボーグマン』レビュー

本日は本家シッチェス映画祭グランプリ受賞のオランダ映画『ボーグマン』。観客賞受賞の吉岡監督より熱のこもったレビューをいただきました!レンタル開始、ブルーレイ・DVD・デジタル配信リリースは225日より。

学生残酷映画祭2014観客賞受賞『チェンソー君!』吉岡光監督によるレビュー

これはオランダ製の『突撃!隣の晩ごはん』だ! ただし、突撃してくるのは質素で怪しいセミロングオヤジ、その名も『ボーグマン』! やつは巨大なしゃもじは持ってない、倫理観も人間性も持ってない、あるのは手提げカバンと得体の知れない計画だけ!
風呂に入れて飯食わせたら、「なかなかですね」とか言って次の家に行くのかと思いきや、なんだかんだと言い訳つけて、ボーグマンは居座り続ける!
この素晴らしい空気の読めなさは、かつて小学校の友達が家に遊びに来て「まだ平気です」とか言って830分くらいまで帰ってくれなかったあの感じとよく似ている。
奥方としては心底消え失せて欲しいのだが、ボーグマンの態度が嫌に丁寧なので追い払おうにも追い払えない。「クッソォ、旦那に気が付かれる前にこのオヤジどうにかしなくちゃ」と思っていた奥方だったが、いつのまにやら「アラ、ヤダ。あたしボーグマンの存在に安らぎを感じるようになっていたみたい」とまるで少女マンガのような心変わりを始めてしまう!!!そして、いよいよこのオランダ製『突撃!隣の晩ごはん』は旦那も子供も家政婦もその彼氏も巻き込んで放送禁止レベルをはるかに上回る悪夢になだれ込んで行くのだ!
一体何がどうなって誰が何者なのかは、あなたが、その目で見て、その頭で考えてくれ! 多分一回見ただけじゃよく解らない!
そして、お願いだから、俺ん家来るな!『ボーグマン』!

学生残酷映画祭実行委員会によるレビュー


 謎の男ボーグマンを迎え入れたことで、裕福な一家の日常が崩壊してゆく様を、ブラックユーモアたっぷりに描く。ボーグマンとは何者か。上下逆さまで現れるタイトル、エセ聖書のエピグラフ、聖職者や杭、地底からの登場…と冒頭の時点でボーグマンが神の教えに背く邪悪な存在であることがじゅうぶんに示唆される。アンチクライスト?悪魔?宇宙人?吸血鬼?インキュバス?アルプ?あるいは、それら全ての総体のような存在?ブルジョワ夫人がホームレスのような身なりのボーグマンに惹かれていくという転倒は邪悪な遊び心に満ちている。オランダ、ベルギー、デンマークの合作でもあり、オランダの友人によればボーグマン含む数名の口調はオランダ語ではなくフラマン語に聞こえるとのこと。

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